寒くなってきてチョコレート作りを始める方が増えてきましたね。それに伴って「テンパリングがうまくいかない」というお悩みもたくさんいただきます。今回は、よくあるテンパリングの失敗3選と、それぞれの原因・解決策をお話しします。

失敗その1:水の混入(湯気・結露)


レシピ本を見ながらチョコ作りをしている方に、とても多い失敗がこれです。

なぜ水が入るとダメなのか


チョコレートは、カカオマスとカカオバター(油)と砂糖が合わさってできています。砂糖は油に溶けないので、実は非常に細かくすりつぶして混ぜてあるんです。

💡 ポイント


人間の舌は20ミクロン以下のものを感知できません。砂糖をそれより細かくして油と合わせているから、私たちは「溶けている」と感じるのです。



ここに水が入ると、油と水は混ざり合わないので、チョコレートがどんどん分離してきます。混ぜているうちに固くなってゴテゴテになり、「あーうまくいかなかった」となってしまう。

水冷法は要注意



世にあるレシピ本の7〜9割は「水冷法でテンパリングを取る」と書いてあります。でも実は、水冷法には注意事項がたくさんあって、私はほぼ使いません。



水冷法で水が入る経路は2つあります。

1. 湯気:お湯のボールにチョコのボールを重ねると、隙間から湯気がどんどん入る
2. 結露:冷水につけた時、水面がチョコの面より高いと、ボールの内側に結露が発生する

水冷法を使うなら、お湯のボールより大きいボールでチョコを溶かすこと、冷水の水面がチョコの面より下になるようにすること。でも正直、面倒です。

解決策:電子レンジで溶かす


💡 ポイント


水の混入を防ぐ最も簡単な方法は、電子レンジで溶かすことです。
500〜600Wで30秒ずつ小刻みに加熱
または40〜45度の保温モード(パン発酵用)に入れておく



電子レンジなら水が入る心配がありません。ただし、1〜2分かけっぱなしにすると焦げてしまうので、必ず小刻みに加熱してください。

失敗その2:混ぜが足りない


最近よくあるご相談がこれ。「ある程度テンパリングが取れて固まったけど、白い筋が出る」というお悩み。

なぜ筋が出るのか


チョコレートのテンパリングは、温度混ぜ時間の3つが必要です。

今の季節は部屋が寒いので、温かい時期に作っていたよりも早く温度が下がります。温度が下がればテンパリングが取れるわけではなく、しっかり混ぜる時間も必要なんです。


寒くなってきて、混ぜが足りない人がすごく多いです。粘度が違うものを混ぜ合わせるので、結構頑張って混ぜないときれいに混ざらないんですよ。



解決策:自分が思っているよりしっかり混ぜる


チョコレートは見た目だと混ざり具合がわかりにくいので、どうしても混ぜ不足になりがち。いつもよりしっかりめに、時間をかけて混ぜてください。

失敗その3:量が少なすぎる


今チョコレートが高いので、なるべくぴったりの量で作りたい気持ちはわかります。でも、少量でのテンパリングは難しいんです。

なぜ少ないとダメなのか


量が少ないと、温度の下がりがすごく速くなります。そうすると:
混ぜる時間が足りなくなる
温度のコントロールが難しくなる
結晶を作る時間も短くなる

💡 ポイント


50g、100gのテンパリングは、慣れてからがおすすめ。初心者の方は200g以上で練習してください。



余ったチョコレートは無駄にならない



余ったチョコレートは、平らなところに流して固めれば、パリパリ割ってまた溶かして使えます。全然無駄にはなりませんので、慣れるまでちょっと多めに準備してください。



まとめ:テンパリングを成功させる3つのポイント


1. 水冷法はやらない(慣れてない方は)→ 電子レンジがおすすめ
2. 自分が思っているよりしっかり混ぜる
3. 量は多め(200g以上)でやってみる

おまけ:テーブル法のコツ


私はこの季節、部屋の温度が18〜20度ならテーブル法でテンパリングを取ります。テーブル法が一番早いと思っているから。

💡 ポイント


テーブル法の注意点
テーブル(大理石など)の温度が22度以上だとテンパリングが取れない
温度計の校正が取れているか確認する



テンパリングは最初は難しく感じるかもしれませんが、コツさえつかめば必ずできるようになります。失敗の原因を知って、一つずつ解決していきましょう。

クリスマスまであと少し。素敵なチョコレート作りを楽しんでくださいね。

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